ノルウェイの森
ノルウェイの森を読了しました。村上春樹の作品はこの本が初めてです。
今まではミステリーを多めに読んでいたので、気分転換に読んでみようかと手に取ったのがこの本でした。恋愛小説だと聞いていたのですが、中身を見てみると死に関する部分が多くあります。このテーマの主題は生は死の対極の存在ではなくその一部として存在するのだ。という部分です。キヅキの死によって、死の住人側になった直子とキヅキの死と向かい合った生の住人側の主人公ワタナベ。
このノルウェイの森は直子を失うまでの物語だと思っています。
結局苦しむのは自殺した人ではなく自殺した人を愛した人です。ただ直子に関しては非常に不憫だったと思います。直子はワタナベと体の関係を持ったが、愛してなどいなかった。しかし、生の世界とコンタクトが取れるのはワタナベしかいない状況でした。彼女はもともとキヅキのことを想いながら残りの人生を過ごすつもりでした。それが、ワタナベと出逢い生の世界への憧れを見出します。
キヅキを裏切ることとワタナベを利用してまで生にすがりつくべきなのか葛藤し、ついに物語終盤で彼女は自ら命を絶ちます。
この本はまた読み返します。読み終えた後に直子のセリフを見ると非常に感慨深いです。評価が分かれていますが、個人的には名作でした。